| 調停の場でサインした合意書を何度も読み返した。 4 ページくらいだが比較的大きな字で書かれてあるし一般人の私、というか外人の私にも比較的理解しやすい英語で書いてある内容だった。だからそこに「被告 (Respondents) は原告 ( 原文に従うと私のことを Consumer と書いてあるがそれは ” 原告“と呼ばないで“消費者”というのだろうか?? ) に 6 月 15 日と 7 月 15 日に2回に分けて $1500 を原告の住所に直接、郵便で小切手を送る」と書いてあるのは明白で、どう難しくひねって考えてもその英語はそれ以外何も飾りつけない文章で記述されていた。穴があくほど読んでも同じこと。大体がこれって一応、法律で決められたことでただの約束事っていうほど軽いもんじゃないのに、それでもまだその規則を守れないということに呆れてしまった(今更?)
そこに期日通りに小切手を受け取らなかった場合には、判事と弁護士にその旨を伝えることとあったので一回目の期日ぎりぎりのその日に手紙を送った。そしてそれから 30 日たった 7 月 15 日にも案の定、小切手は送られてくることはなかった。やっぱりねぇ、世の中そんなもんよ。突然上手い具合に収入なんてあり得ないしねっ。法律で定められているっていったって向こうも上手だからうっかり者の私はもしかしてお金を受け取ることすら忘れてるかもしれないとか、合意書の内容を理解していなかもしれないという最後の望みにかけたのかは知らないが、全くもって、法律や裁判、調停なんてこれっぽっちも気にしていない態度だ。そして私は7月15日の30日以内に連絡することとあったから8月の初めにやっぱりいてもたってもいられなくなって「あなたのチェックきてませんよ〜、約束守ってないですねぇ」という手紙を弁護士あてに送付、それとそのコピーを判事にも送った。
なんで8月の初旬までその手紙を送らなかったかというと、アレックスよ、あんたも人の子だろ、これ以上問題おこしてど〜する?となんか田舎の親戚のおばさん風に彼を思ってしまった。そして更には、ゴメンよ、でも約束守らないとまた大変なことになるよ、この念を感じておくれぇ。なので遅れてでもチェックさえ送ってくれば一件落着にしてあげてもいいのよ、と考えていた・・・って、ちょっと天使の心で平常心を保っていたが、やっぱり私あまりの暑さにぶっちぎれていきなりやぁめた!いいつけてやる、やっぱり送る気ないよね、だからもっとあんたを困らせてやる!しかも私は暇人だからとことん追及するよ。ってわけでまた手紙を前回に続き送る。
しかし、それから一ヶ月経っても誰からも何の連絡も来ない。えぇ、なんだよぉ〜、市長さん、これで私の話は有耶無耶になるんでしょうか?と心配をし始めた9月初旬来たぁ!また同じようにヒアリング(調停)の日程が書かれた手紙がきた。私のメッセージが伝わったんだとちょっとホッとしたのと同時に、一体向こうはどんな作戦でくるのだろう?いくら強気な態度の私でもちょっとだけ心配になってきた。きっと今度は向こうはパラリーガル風の女子ではなく本物の弁護士歴30年?っていうようなアストリアからでてきたギリシャ系の怖い系のおじさんとかがでてきそうだなぁ。あぁ、なんか憂鬱だよ。それで凄い勢いで私に証拠をだせとかやり直しだとかいわれちゃうんだろうなぁ。そんな光景が目に浮かんでそれなりに心構えをし始めていた。
再調停は9月の半ば、なんかあの時以上に準備をするべきか考えたけどもうあの頃のメールをみたり、写真を整理しなおすことすら力尽きていた私は、私の最もたる短所、諦めの心境に入っていた。熱しやすいけどさめ易い、よくいえば引き際がいいです私。しかもその場引いたらあとひきづりませ〜ん。だから今回も既に「そっか、人生こんなもんね。も〜いいやぁ」と心の中で何度もつぶやき自分を納得させようとしていた。
そして9月のその日は来てしまった。慣れたもんでエレベーターで調停の部屋までいくとさっさと記入すべきものに記入して、それで名前を呼ばれるまでみんなを見渡せる、更にはテレビも見やすい位置をゲットして1時間は待つつもりで腰をおろした。前に増して DCA のオフィスは何故か「超満員」。こういう役場にも季節というのはあって、8月に調停に呼ばれても誰かがバケーションだったりして不参加になることを想定して意図的に9月になってから沢山のスケジュールをいれるのだろうか?それともやはり景気後退に伴い、罰金の未払いや、職を失っていきなり暇になりだした途端、昔の大家のことや騙されたことなんかを思いだしてクレームする人が増えているのだろうか?とにかくブルックリンの免許センターや郵便局もビックリするほどの込み具合だった。
とうに1時間30分は過ぎた頃に名前が呼ばれた。前の判事に会うのだろうと思って振り返るとそこには男の人がいた。えぇ、マジ?前のおばさんがよかったよ〜と心の中で思った。だって、おばさんのお陰で $3,000 ゲットできたも同然だったのに、誰この人?しかも、私こういう白人で安っぽいネクタイしてる口元がとっても冷たそうな人って凄い苦手なんだけど、と考えながら彼のほうに歩いていくと「ハァーイ」といってる作業着姿の男がいた。そして「 My name is Fortis 」といって人懐っこい目つきで私に手を伸ばしてきた。でたぁ、この人がアレックスとグルでお金を受け取っては作業やりっぱなしで逃げ、それで私のように苦情を訴えると「えぇ?その人知りません。自分も犠牲者なんでね〜」という男だっ!フォーティスは自分の右腕だという男のデーブという男を連れてきていた。部屋に入って男の判事がこの人誰ですか?とフォーティスに聞くと、ただ着いて来ただけですけど何か問題あります?ってはぁ?お前1人で来いよ!
男の判事は今日は前の判決に違反があったから新たに判決をしなおさないとならないです。と言ってる横でフォーティスという男は「あっ、すんませ〜ん、これ渡せばいいでしょ?」といきなりテーブルの上に$ 3000 の小切手を置いた。それで判事がいやぁ、渡せばいいでしょ?って・・・「いいですか?」といきなり私に聞いてきた。いいですか?っていいですけど・・・はぁ?何してるの私達?もっと普通にビジネスっぽく英語で会話しない?っていってやりたいくらいになんか適当?でも私もなんか他につけたしたいけど何も思い当たらなく「オッケ〜?」ってそのクエスチョンは誰に対しての疑問詞か自分でもなんかよくわからないけどとりあえずそんな感じ・・・その間はっきりいって20秒。でっ、判事が「じゃ〜これ記録に残しますね、今から会話録音しますんで、答えてください」ってなんかこれって「一応記録しましょ」的な感じでさっさと事は進められた。どうして遅れたとか、なんだとかも〜そういう言い訳ってどうでもいいや的なところが凄いアメリカ的なのかなんかニューヨーク的な問題解決の仕方なのか、なんだかよくわからないけどもうすでに私もお金さえもらえばその支払いの相手が自分は無実だ、犠牲者だといいつつ何故払う?とかもう相手のことはどうでもいい。それが納得いくとかいかないとかもどうでもよくなっていてもらってしまえば私の $3,000 だもんねイッヒッヒっていう気分になっていた。
前回同様、今日のまとめ(何をまとめるんだ?)を書くから外で30分くらい待ってといわれ、私とフォーティスとその付き添いのデーブは部屋の外で待つことにした。やたら誰とでも仲良くなってしまうのがもう1つ「欠点」の私だが、やたらと人懐っこく私にあれこれ話しかけてくるフォーティスに私なりに極力に言葉を選んで話した・・・つもり。彼はあれこれと私にアレックスのことを聞いてきて断固として自分は被害者だとか、どうしてこんな目に逢ってしまったんだと嘆いてみたりしていた。しかもブルックリンハイツには仕事では1度しか行った事がないと言い張っていた。それでも私はいくら似たような容姿の人がおおいとはいえフォーティスの右腕だといってつれてきたデーブという男をブルックリンハイツでよく見かけたような気がしてならなかった。それで私も呆れ目線で「デーブのことをブルックリンハイツでみたことあるんだけど・・・」っていったら本人はなんか英語わかりません的な顔で「彼はブルックリンハイツには用事ないよ、いつも自分と働いてるし」って何故かフォーティスが答えてる。だからフォーティスに「いや、デーブの愛人がブルックリン・ハイツに住んでるの知らなかったでしょ?」って・・・笑ってる場合じゃないよ。でもなんかもうお金さえもらえれば2度と彼らとは関わりたくないし、これからもこれに懲りずに何か悪事を働くと思うけど、それが彼らが唯一生きる道だと言い張るのであればがんばってくださいという気分になっていた。
自慢じゃないが私はうっかりしていても「意図的」に人に騙されたことがない!と・・思う。騙されたことはあるけれども私が騙された事に気づかなかったり、気づくのが遅いというのは季節ごとに(まぁ、年に4回くらいはあるかも?)あるんではないかと思うが、最初から私の弱みに付け込んでお金を捲り上げようという人はアレックスが初めてだ。きっといつでも誰とでもカジュアルにおしゃべりをして警戒心が無さ過ぎるからこういうことになったんだろうと私らしくないが珍しく反省している。毎日寝る前に反省しろ!っていいたいところだか自分の失態を夜になるとすっかりと忘れていて反省することなんて全く無いしという白紙の状態で毎日過ごしているため何の成長もなく今まできた。だから今回のこの面倒で出来れば忘れてしまいたいし、避けて通りたいことをいろいろと自分の耳で、目で確認しながら学習したことは人生の大きな教訓になったと思う。
あれこれおしゃべりしてる間にまた判事に呼ばれて部屋にはいる。そこで合意書にサインをした。そこには今回、支払われた $3,000 の小切手が不渡りになった場合は最初の要求通りに$ 10,000 の支払いを 30 日以内に命ずるとあった。私は一瞬、ぷっ!このチェック不渡りになりますように!と迂闊にも願ってしまった。最後に判事が文章を読んでこれでオーケーですか?と私とフォーティスに聞いて私達がオーケー言った言葉を録音して終わり。最初に部屋に入って1分、そして最後に部屋にはいって1分。小切手を受け取り「終了」判事が何か質問はありますか?と聞いてきたから何もないけどあまりにも何もないでサンキューで終るのも無愛想かなとまたセールスマン精神丸出し ? !でもここで何をしゃべっても煩いし「時は金なり」だからさっさと退場することにした。帰りフォーティスが「アレックスとっ捕まえてぶっ飛ばしてやる!」って言ってたけど「ウン、ぶっ飛ばしたほうがいよ!」って真剣な目つきで私もいってみた。私なりに怖い目つきでこれ以上悪事を働いたら今度は逮捕されて罰金だけじゃなくって刑務所行きかもねって彼に遠まわしにいったあとで、別に私がそんなことをいわなくってもそんなこと、あなたにも親がいるなら悲しませてはいけないこと・・・分かってるよねって願うような気持ちになった。
お金を受け取ってからなんだこれで済んだんだ?こんなもん?ってちょっとだけ気が抜けた。こうやって素直に解決することを望んでいたのに解決したしてしまったらなんだか要するに人々がもやもやするのはお金で解決できないことなんだと思った。お金持ちの人がよくお金で解決できることで悩むのは馬鹿らしいとかなんとか「お〜金持ちは言うことが違うねぇ」なんてことを言うのを聞くがそれを今回は体験した。悩みと言うのはお金をもらったところで心からもやもやがとれなかったり、どんなに願っても治らない病気を抱えることを悩みというのだろうと思った。私が今までこのことが解決されなくていらいらしたりモヤモヤとした気持ちでアレックスを恨んだりしたが、もう彼のことをなんとも思わなくなった。私がアレックスを憎んでいたのは私に被害を被らせたからであって、こうして支払いが終ると「アレックスもフォーティスも家族を悲しませないようにがんばりなさい!」といきなり母性本能で彼らを思ってしまった・・・と友達に話したら「出た!この経験から何も学んでないねっ!チェっ!」と言われたが・・・そうかもしれない。でも今後このような災難に巻き込まれないように人を見る目をもっと養わなければと思った。私のオフィスのマネージャーがよく私に、「 You are the sheep running in the jungle 」(ジャングルを駆ける子羊)と私を表現するけど、要するにジャングルにはいったら子羊だろうがなんだろうがジャングルのルールに従って、食われないようにライオンのふりをしないと生きていけないと言う。そんなことわかってまっせ〜、心配しないでって、いつもいっていたのに私生活でこんなにビックなずっこけがあったとは、これを知ったら、彼は崖から突き落とされたくらいな気分になるだろう。でも私、がんばりました。その訴え残念ならが却下されるよと$ 2000 で請け負ってあげるよといった弁護士(ちなみにコンサルタント料$ 230 也)にいわれたのに、ジャン!出来た、出来た!証明ないのに証明しちゃったよ。お金を受け取ったことよりも、なんだかこの達成感がとっても気持ちい。副業によろずや(万屋)はじめちゃお〜かしら?と次なる困難に立ち向かえる気持ちがひしひしと湧いて来た。 |