NYの日系コミュニティガイド
NY EVENT
Vol. 24  恋は盲目。結婚はタイミング。不動産は・・・
2008/01/01 UP

 私は不動産エージェントにはあってはならない地理が苦手な女だ。それでも、みなさまのお陰でこうしてぼちぼちと商売が成り立っている。(サンキュ〜!)要するに「空間把握能力」に欠けているのだと思う。大抵の不動産エージェントは物件を写真で見たり、フロアープランを見るだけで、頭の中でそれを三次元空間に置き換えて部屋の様子を想像することが出来るらしい。でも私はその場にいかないとどうにも把握ができない。だから、当然のことながら殆どの物件は実際に足を運んでその場に立ってみないと、お客様にも物件の説明ができない。という、とっても手間のかかるセールスマンだ。

 さらに、お客様を車でご案内するのは不動産エージェントにとって大事な仕事のひとつだが、私はあの便利なはずのカーナビを理解出来ない。新車を買ったときに、不動産エージェントにカーナビは絶対必須でしょ!というわけで、カーナビつきの車を購入してから約1年間、私はそのカーナビのお世話になったことがない。それどころか、カーナビのせいで何度道に迷った事か。今となってはカーナビとは絶縁状態だ。カーナビと関わるとろくな事が起きない。まずは人が運転している横で、あっち曲がれとか、あと何フィートでこうしろとか、いちいち話しかけてくるのがとってもうっとおしい。当然だがカーナビは一方的に話しかけてくるわけで、私が「えっ、それってちょっと違うんじゃないの?」と聞きかえしても、何の反応もなし!2次元の平面であるスクリーンでは前に進めば矢印が上に行くわけだが、私が運転している車の中の3次元の世界では、その上というのは私の頭上なわけで・・・。と考えただけで頭がめちゃくちゃに混乱してしまうのだ。それとカーナビの声に指図されるのが大嫌いだ。「200メートル進んだら右に曲がる」ということを日本のナビゲーションは「200メートル先右折」というのか「200メートル進んだら右折して下さい」と丁寧にいうのかは知らないが、英語バージョンは「Turn right at 200 feet」と完全なる命令口調で話しかけてくる。それにとっても腹が立つ。それでなくても仕事で人にあ〜だ、こ〜だと朝から晩まで指図されてるのに、カーナビにまで指示されたくないし、だいたいその言い方はないんじゃないの?と、機械相手にその接客のしかたに疑問をぶつけたくなるのは私だけでしょうか。

 前置きが長くなってしまったが、私の2次元空間から3次元空間への置き換え能力が足りないばっかりに2007年最大の失敗を犯してしまった。これまで、そのせいでそんなに不幸なことが起きた事もなかったので(かといって大して幸福なことも起きたためしも無しだったけど)、2次元空間から3次元空間への置き換えをなんとも曖昧にこなしてきた私だが、今回の失敗を機に40代と遅いながらにもその曖昧に物事を判断するという性格を改善するべきではないかと真剣に反省させられる事態が起こった。

 どんな失敗を犯したかというと、私は調子に乗ってアパートを購入してしまった!当然、仕事だから毎日のように物件を見て、お客さんにはこっちの物件のほうがお得、あっちの物件のほうが安心だなどと、あれこれアドバイスしてきた。そのたびにいつも心のどこかで、この物件を本当に気に入ってるなら、「じゃ〜お前が買えよ!」と自分の中のもう一人の自分がつぶやくこともしばしば。不動産エージェントをやっている仲間の間では、自分で投資用に物件を購入する人も多い。私はというと、不動産エージェントの仕事を始める前にブルックリンハイツに自宅を購入しただけで、それ以外には不動産を購入した事が無かった。だから常々、機会があれば私も買っちゃったりしてねぇ、なんて思ってはいたのだけど、何せ自分の事となると面倒くさくなってしまうのだった。人のことはあ〜だこ〜だと世話焼き女房のように口うるさく言うくせして、どうして自分の事はいつも後回しになってしまうのだろう。プラス、いつかいい物件があったら買っちゃったりしてねぇ、と思ってちょびっとだけ貯めたお金も、何かのバーゲンがあるたびに、まだいい物件がみつかりそうにないから使っちゃおっとという具合に、せっかく貯めた頭金も減る一方だった。そんなこんなでこれまで購入に至らなかったのだ。

 今住んでいるブルックリンハイツのアパートは、駅に近い、毎日行っているジムも下にある、近所に沢山の友達がいる、公園とオフィスに近い、素晴らしいマンハッタンの景色がある、という、私にとってほとんどパーフェクトな物件。このご時世にこれと同じ条件の住む為の物件を購入するのは、現在の経済状況ではトテツもなく無限大に不可能に近い!という事をひしひしと肌で感じていた。現在の私の経済状況が急変することはないだろうから、それならくよくよと自分の能力や運命を恨んだところでどうしようもないし、そしたら投資物件ってのを買えばいいじゃん!とずっと考えていた。不動産を購入する目的には、自分が住むための自宅用の物件を買う場合と、物件を買ってそれを賃貸に出して利益を得たりする投資のために買う場合がある。これ以上にパーフェクトな自宅用の物件は、あったとしてもとても購入できないだろうと思った私は、買うなら投資用の物件を買おうと思ったわけだ。そうは思っても、通常、投資物件というのは、自分の生活が成り立っていて、投資する「余裕」のある人だけが購入するわけだから、私みたいに毎月綱渡り生活を送るような身分では、自分で墓穴を掘るような自殺行為なのではないかと私の中に小さく潜む道徳のエンジェルがブレーキをかけていた。その反面、もしも投資物件を買うのであればこんなのがいいなというブループリントはちゃっかり出来あがっていたりもした。これが失敗の原因だった。2次元の平面上のブループリントまではよかったのだけど、冒頭でも述べたが、私は2次元のものを3次元に置き換えるのが苦手だ。なので、ブループリントを立体化(現実化)させるところで、ちょと話が変わってきてしまった。

 私が思っていた投資物件を購入する際の条件は、1.犬を飼ってもいい(ペット可能) 2.エレベーターに乗らなくていい階であること(エレベーターを待つのが嫌い、それくらい気が短い)またはどうせ乗るのであるならば階段で上がるのがほぼ不可能なくらい高層な階にする(諦めてエレベーターに乗らざる終えないから)3.賃貸に出せる 4.どんなにブルックリンの奥地であろうが地下鉄の駅に近い 5.改装できるところ(TLC(Tender Loving Care)が必要なところ)。こうやって書いてしまうと大した条件ではないのではないかと思うだろうが、この条件の全てをクリアーする物件というのは実はそうそう無い。駅が近ければ、ペットが不可だったりと、4つまで条件をクリアーすることはあっても5つ目の条件がクリアできないことが多々ある。最終的に、条件が5つすべてクリアーできたとしても、値段が合わなかったりと、探してみればわかるがすべてがうまくというのは本当に難しい。

 どうしてこの5つの条件なのかというと、いくら投資用とはいえ、いつか何かあったら自分が住んでもいいだろうと思われるところ以外、購入する気にはならないからだ。ということで、犬を飼っている私にとって、ペット不可の物件は問題外。大した高級なビルでもないのに犬は受け付けないという物件があまりにも多くあって、実はこの条件をクリアーするだけでもけっこう大変。あと、公園に近いという条件も、これまた犬がいると必須の条件だが、犬の散歩コースというのは主婦にとっては食品を購入するためのスーパーはどこ?と同じくらい最初に出てくる問題。

 エリア的には、私がブルックリンのなかで投資として一番いいのではないかと思っていたところは、ケンジントン、ミッドウッド、クラウン・ハイツの3エリア。これらはどこも公園に近いし、比較的まだ規制の緩いコープを見つけることが可能。それとベイ・リッジ、サンセットパーク、グリーン・ウッド。こちらは場所によってはベイサイドの公園までのアクセスがあって、それこそ、「ここはどこ?サンフランシスコのベイ?」というくらいに素敵な公園が延々と続いている。今挙げた場所は人々がブルックリンに住みたいと言ったときに最初にリストする地域ではなくて、何故か結局購入したのはここだったね、みたいな第二希望の中に比較的入りやすい地域だ。だからブルックリンの人気エリアとされる地域(ブルックリンハイツ、パークスロープ、ダンボ、ウィリアムスバーグ等)はとてもじゃないけど手に入らないが、これらの地域ならば自分の家を持つという夢をかなえることが出来る。しかも、投資にも向いていると思うのは、まだまだ開発の余地がある地域で目を皿のようにしてみれば今からでもエクイティーを充分に備えたアパートを見つけることが可能だからだ。

 上のような条件と立地で、これまでにも「いいかもね」というアパートはあったものの、今年になるまで実際に購入するというアクションにいたらなかった理由は、はっきり言って自分でもわからない。自分なりに分析するとすれば、凄くデブになってしまった人で、少しづつデブになっていて、自分はデブだと思わなくなっていた。きっと自分は痩せれるわけがないと諦めていた。あるいは、いつでもダイエットなんてできるからもっと太ってからダイエットを始めようと思っていた。とか、なんとも分かりずらい例かもしれないけれども、自分の置かれてる立場に慣れっこになってしまっていたからなのではないかと思う。周りには不動産で一儲けをした人がたくさんいるし、不動産エージェントなんだしいつでもいい物件をみつけられる状況にいるから、この機会を逃してもすぐにまたいいのがみつかるはず。だと思ってしまっていた。デブになっても痩せようとしない私も、投資物件を見逃す私も、要するに理由は新しいことをするのがとっても面倒だからだと思う。

 よく、結婚はタイミングだよ〜、と結婚している人はいうが、不動産購入に関してもタイミング以外のないものでもないと今回購入して思った。なぜか今年の私は、ベイリッジにある激しくぼろいワンベッドルームの物件を買う気になった。これだけ物件をみまくってる私がどうしてこの物件に決めたのかは、いまだに自分の事なのに説明がつかない。分かっていることは、このアパートは、1.犬を飼ってもいいビル 2.2階 3.駅の目の前 4.ボロイ!5.公園に近い、とまさに私の購入条件をすべてクリアしている物件だった。この物件を見た瞬間、私は恋におちた瞬間のように盲目になっていたかというと、そうでもなくて、きっと何か落とし穴があるんだろうなぁ、くらいには思っていた。っが、どうやら私の「空間把握能力」のなさのおかげで、一度みた物件の実態を忘れて、自分の都合のいいように空間を置き換えていたようだ。

 その夢ごときふわふわとしか把握していなかった物件を購入してから「どっひゃぁ〜!」という目に遭った。。。というか、正確にいうと、今まさにその酷い目にあってる最中である。どの程度のつらい経験するかは現在進行形の為、今回は残念ながら報告することができない。でも、この自爆購入体験は、不動産エージェントとしてきっと通るべき関所だと自分に言い聞かせ、自ら実験モルモットとなって今後のアドバイスへと役立てようと思う。自分で経験して初めて語れる!そうやって少しだけ自分を慰めてるところ。購入してから2週間程経過したが、私はそのアパートにまだ一度も足を踏み入れていない。どうしてこの物件を買ったのが失敗だったのかは、次号で詳しく説明するとして、とりあえず、今の私は、知りたくない、見たくない、そっとしておいて的な心境。これからのことを考えると新年そうそうど〜んと落ち込むではないか。でも、きっとこの経験談はこれから物件を購入されるみなさんのお役に立つはず。なので自ら体験して、ありのままをお伝えしたいと思います!今年もよろしくお願い致します。


 

文/写真/情報提供 keiko Matsumura
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コメント from けい子:
日本語で親切に対応してくれます。
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