NYの日系コミュニティガイド
NY EVENT
Vol. 20  出会うべくして出会ったひとびと
2007/09/01 UP

 結局のところ人の人生って最終的にはみな平等にできているのではないかと思うことがある。だって、働く能力や才能がある人からは、「ラッキィ~!イェ~イ!」なんて話あまり聞かないけど、この人は本当にひとりで生きていけるのだろうか、とちゃんと生計を立てていけるのだろうか、と思うような人には、なぜかラッキーな出来事が起こってどうにか生き延びているような気がするからだ。神様って不思議なもんで勤勉に稼げる能力のない者にはこんなチャンスを生きている間に何度か与えてくれるんだと思った。そうでなければそういう人はただ自滅していくからなんだと思う。でも何故自分には神様からのアテンションがないのか、そんなラッキーなイベントが巡ってこないのか、常日頃考えている。きっと私にも「ヤッホー!」というような事が待ち受けているに決まってると信じているが、それは今ではないらしい。だからこうやって地道に営業をするより生きていく手段はないのだと、とりあえず納得。そうでも思わないと、サムみたいな女を見ていると羨ましすぎて、ただただ自分の運命を憎んで仕事すら手につかなくなってしまうから。

 ハイハイっ!スピリチュアルな友人に言わせると、私のように人を羨ましがったりする精神が私をもっと幸福から遠ざけているのだそう。そんなこと言われたって、私が幸福から遠ざかっていようがなかろうが、ノロノロと売れないマフラーを編んで、親に買ってもらったアパートに住み、更に父親がアレルギーと知りながら犬を飼うような女が一瞬のうちに$225,000もの大金を手に入れている一方で、私が例え、お客さんにボロ雑巾のようにあつかわれ、捨てられるのを了解の上、身も心もクタクタになりながらがむしゃらに仕事をしてもそんな大金を短期間の間に稼ぐことは不可能だよ。どう考えても人生ってなんてアンフェアなんだよと恨むことがたびたびあったが、今は考えを改め、私は私のミッションを遂行するよう凡人として努力をするのみと悟った。

 大金を手にした妊婦サム。子供がもう生まれそうだというのにそのお金を新しいビジネスに投資するといっていた。なんともファンキーなファッション雑誌を発行するとの事。う〜ん、ボチボチとマフラーをあんだり、バッグを作って売るよりはもしかしたらスマートな投資かもしれないけど。きっと、サムも親になることだし、ちょっとだけ将来の事を考えたりしてるのかもしれないと思った。そんなことを考えながらサムのアパートの引渡しの日には、今度はいつ会えるだろうかとちょっと別れを惜しんでしまったが、なんと彼女とは直ぐに再会することとなった。

 子供を産み、2ヶ月もすると仕事に復帰していたサム。オフィスから電話があってビックリ!えっ、仕事場かい?早速、話を聞きにウィリアムスバーグ(の奥地)にあるオフィスで会った。サムは、いつものいたづらな目つきがなくなり少しお母さんらしい優しい顔つきになっていた。サムの弟分、愛犬のギズモはというと、相変わらず“社長か?”という態度でオフィスのイスの上に座りジッとみんなの様子を眺めていた。「ご両親は元気?孫ができて相当喜んでるでしょ〜」と聞いた。当然、両親の喜びはひとしおで、毎日彼女の家に来てはあ〜だこうだと面倒とみていってくれたらしい。でも、今は仕事に復帰したのもあり初のベービーシッタを雇い始めたと笑いながら話てくれた。それと犬アレルギーのお父さんが孫に会いにこれないからかわいそうだということで、なんとギズモはオフィスの友達に引き取ってもらったらしい。あのサムが弟のようにかわいがっていたギズモを。。。サムも母親になって変わったね。きっと彼女なりに大変な決断だったには違いない。ギズモを仕事の時はオフィスにつれてくるという条件で、オフィスの友達に譲ったらしい。そうすればギズモとサムは毎日のように会えるし、お父さんも孫の顔をみにサムの家までこれるというわけだ。だからというわけでもないけれど、と言って見せてくれたサムのふくらはぎには、なんとギズモの刺青!お〜、母になって変わったかと思いきや、やってくれるねサム。彼女のふくらはぎに刻まれたギズモはなんか笑っててかわいい。サムなりにそれくらいギズモを愛して手放したくなかったという愛情表現なんだと思った。

 でっ、早速今度の依頼は?というと、なんと旦那が仕事のパートナーでもあった友人と共同で購入したロフトを売却したいとの事。子供もいることだし、これからは二人で財産を築いて行こうという、なんか凄く普通にまともすぎで、聞いていて本当に私の知ってるサムなのかとちょっと何度も目の奥の方を見てしまった。でも、話しをしているのはパグの刺青をしたサムだ。ということは、私の心配をよそにサムは親と同じくらいにサムの人生を受け止めてくれるような旦那に愛されて、まっとうな生活をしているようだ。刺青をしても愛される女、なんかレベルが違うにせよちょっと刺青をしていた時のアンジョリーナ・ジョーリーを思い出してしまった。

 サムの旦那というのは20代の前半から人生の計画というのをしっかりたてていたような人で、25歳にして世界中でサーフィンをしながら(ニューヨークでサーファーでいるには世界をまたに駆けないとやっていけないようだ)不動産を購入したり会社を始めたりしていたらしい。30歳とは思えないようなしっかりした人で、サムと知り合ってからはサーファーの雑誌を出版して、ニューヨークで腰を落ち着かせていたようだ。ロフトを何故売却したいかというと、ロフトを一緒に購入した友達が亡くなってしまったかららしい。その話を聞いたとき、ハッ!としたがあまりどうして亡くなったのかとか、何歳だったのだとか、しつこく聞くのもどうかと思ったのでその時は、ふ〜ん。。。いう感じで軽く聞き流した。それでロフトをマーケットに出してもらいたいけれども、今のパートナーがケイコに会いたいから、彼女を説得してくれと言われた。

 早速、パートナーというおばさんに会うことになった。彼女はワシントンDCに住んでいるということで飛行場まで迎えにいきそのロフトを案内してもらう事にした。飛行場で初めてコリーンに会ったときの印象は、1時間ちょっとのフライトだけど疲れたのだろうか?というものだった。そして車で現地に行った。車の中では天気の話や最近のマーケット状況などたわいもない会話をした。アパートについて車を降りようとするとなんだかコリーンの足取りが重い。その日の夜から2泊の旅行にいく予定だった私はなんとなく急いでいたので、彼女がなんだかノロノロとしか動かないのでちょっとイライラしていたほどだ。エレベーターで上にいくのだが、エレベーターに入るのもゆっくり。アパートに入ってからもなんだかずっと黙っているし、一ヶ所にぼーっと立っていて私の話は全く耳に入っていない様子。アパートの外に出て、それじゃ、いつからマーケティングしてもいいか連絡くださいね、と言って、分かれようとしたところで、今まで私だけが一方的に話しをしていて「うん、うん」と返事だけしていたコリーンが初めて私に話しかけた。「パトリックを知ってる?」それを聞いてハッとした。このコリーンが亡くなったパートナーのお母さんなんだと初めて気付いた。それだけ聞いただけで、コリーンのその様子を見ていてとっても悲しくなってしまい、何も言わずに二人で外に立って大泣きしてしまった。なんでパトリックのことを知らないのにこんなに泣いてしまうのか分からない。コリーンの泣く姿を見てもっともっと涙が止まらない。それからコリーンがパトリックのことを知らない私に彼の話をしてくれた。

 サムの旦那と仲が良くていつも一緒にサーフィンをしていたらしい。なんと10ヶ月前に地下鉄の駅で感電死してしまったようだ。彼はまだ27歳だった。そんな、感電死するなんて。神様はなんてひどい意地悪をするんだろう。コリーンは、パトリックが住んでいたロフトを手放したくないけれども仕方がない、でもケイコに会えて良かったと言ってくれた。私は泣き笑いをしながら必ずいい買い手を見つけるからと約束してコリーンと別れた。別れたあと友達と旅行に行ったが、一緒に行った友達に今日あったことを話して彼女とまた旅行先で泣いてしまった。人とのめぐりあいというのは不思議だ。仕事でたくさんの人と出会うことがあるが、きっとこの人とはめぐり会うべくしてめぐり会ったんだと後から思うことが幾度もある。私はサムを通してコリーンに会い、そしてサムの旦那さんとパートナーだったコリーンの息子が買ったロフトを売ることになり、今度はそのロフトを買ってくれることになったお客さんと出会うことになる。後になって考えてみると、みんなそれぞれ私の人生で会うべき人だったんだ。出会いっていうのは本当に不思議だ。

 

文/写真/情報提供 keiko Matsumura
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日本語で親切に対応してくれます。
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