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前回、ブルックリン不動産番長のジョンの話しをしたが、実は女版もいる事を忘れていた。彼女とは今でも毎日のように話しをするので、あまりにも身近になりすぎていて、彼女のグレートさに麻痺していた事に気づいた。
女番長の存在を知ったのはかれこれ不動産エージェントを初めて一年くらいたった頃だったと思う。これまたブルックリンに不動産を持っている彼女は、誰かからブルックリンにも正統派日本人のエージェント(自称?)がいる事を聞きつけて私に電話をしてきてくれた。電話の声がとってもおばさんぽいからリンダおばさんと勝手に私は心の中で呼んだ。リンダおばさんは、ブルックリンに4
件コンドミニアムを持っているけど買い手はいないかと、いきなり聞いてきた。そうは言っても物件をみてみない事にはなんとも返事のしようがないので、早速その物件を見せてもらうように頼んだ。そうと決まれば吉日の私、今、今日、明日ととりあえず一番近い時間に見せてもらいたいと話した。「今」行きますと言っている横で、今はチキンを買いにいくから駄目だとか、じゃぁ、チキンを買って帰ってきた5
時間後は?と聞くと、チキンを料理するのに3 時間かかるから駄目だという。でっ、いつならいいんですか?というと、じゃ、また電話すると言う。最初、私をからかって言っているのだろうと半分、聞き流していた。すると次の日も電話をしてきて、今日は天気がいいから外に出ようと思うけど、もしかして風が強かったら家に引き返すかもしれないからブルックリンまでたどりつかないかもしれない。。。。って、意味不明!じゃ、家を出てブルックリンについたら電話くださいとなるべく気を取り乱さずに言ってみた。すると、携帯はないし、公衆電話は汚いから電話はしないとの事。。。じゃ、どうします?どこにもたどりつかない会話を一週間程したあとに、アシスタントのマイクというのがいるから、彼に物件を見せてもらってくれとの連絡があった。早速マイクの携帯に連絡をすると、すぐにその日に物件を見せてくれた。最初から彼に頼んでおくれよリンダぁ〜。
物件さえ見せてもらえばこっちのもの。駄目でもともとと思いつつも、その4 件の物件を是非、私に売らせて下さいとお願いしてみた。これまたあっさりとOKの返事。この専売契約というのは、5
万人といるエージェントが喉から手がでるほど欲しがっているものなのに、何故私に?あまり難しい事は考えないで、がむしゃらに物件をマーケティングして売った。その間、毎日リンダと話をするものの一度も会った事がなかった。まるで私がチャーリーズ・エンジェルでリンダはチャーリーか?ってくらいにリンダの一声で私はすっとんでいって何でもこなした。何故、リンダがチャーリーなのかというと私はその間、リンダには一度も会った事がなかったからだ。だから私にとってリンダはただの声の存在。毎回、今日はブルックリンに用事があるからといいつつ、来ない。本当に今日は外出したのに途中で水を飲みたくなって家に帰ってしまった(ウソ?)と、まぁ有り得ないいい訳。終いには避けてるのかと言いたくなるほどに私に会うことに大変消極的だった。
ある日、いつものように物件の話をしていると、実はこれからもっと不動産をブルックリンに購入したいんだけどと言ってきた。なので、言われた価格内の物件を何件か紹介すると、自分はネコの家を掃除しないと駄目だからケイコがその物件をみにいって気に入ったら購入するとの事。なんか、ネコの家の掃除って何?意味不明、って感じだったが彼女の言うとおりに物件をみに行くと、価格の割には悪くないよという物件だった。なので早速リンダにその旨を報告すると「じゃ、ケイコが言うから買うよ」って。。。えっ、そんなぁ、一度も見た事のない物件を私がいいっていうから買うって、本当にいいの?という感じだが、さらに驚いたのは、同じ物件でもう一軒あったら買うよ。って。。。え〜?どうして?いくら投資家とはいえ、ちょっと本当に?という感じだった。毎日、私は必死になって不動産マーケットの話をしていたが、リンダの興味はというと飼っている犬(オスなのに何故かプリンセスを言う名前、しかも二匹とも同じ名前)と、ネコの健康管理と天気のことだけなような気がしてきた。
リンダの持っていた物件を4 件も売りに出し、そして更に見もせずに新たに2 件、物件を購入してくれたリンダには一年たっても一度も会ったことが無かった。一体、リンダって何者?とまるで会えない王子様を待つ、乙女のように次から次へと想像は膨らむ。少年時代のディカプリオの映画(What’s
Eating Gilbert Grape )のお母さんのように、太りすぎてて家から出ることが出来ないのじゃないかとも考えてみた。一年間毎日のように電話であれよこれよと誘ってはみたものの一度も私の誘いには乗らず、なんだかんだと言っては家から出ようとしないリンダだった。ある日、ブルックリンの新しい名所DUMBOの物件の話をしたら「前からダンボには行ってみたかった」と言ってくれた。とはいっても、そりぁ彼女の中ではネコの家の空調、さらにはネコの家のラジオの調子、チキンを焼くオーブンの火加減ほどのプライオリティーはないものの、ダンボって投資に良さそうかも?という興味だけはあったようだ。そしてある日、本当にダンボでリンダに会う事ができた。初めて会ったリンダは私の想像していたデブで派手なおばさんではなくて、質素なおばさんだった。あまり意味はないけど、え〜、私は毎日のようにこのオバサンと話してたんだぁとなんか笑ってしまった。ちなみに、ダンボで会ったと簡単に言うが、実際に彼女がその場に登場したのは約束の二時間後だった。実はリンダが遅れて来るだろうということは予想はしていたからあまりなんとも思わなかった。ここをインドだと思って、自分はインドで電車を待つ旅人だと勝手に想像して期待せず、怒らず黙って待っていた。2
時間後にその場に来たリンダ、遅れた理由は「無し」だった。初めて踏む土地、ダンボだが相当お気に召したようで、ダンボに何か新しい物件がでたら買うからといってくれた。そして本当にあっと言う間に2
件購入してくれた。
実際、リンダとの会話はブルックリンの不動産の事が主だったが、時間がたつにつれて序所に自分のことも話すようになった。自分はマンハッタンに何件も賃貸の物件を持っていてテナントは殆どが日本人。日本人のテナントは真面目で綺麗好きだから一番好きだと話していた。他にどんな物件を持っているのかという話を少しづつ聞きだしたが、凄い!オバサン一人で、マンハッタンにこれだけ物件を持っているというのはどういうこと?それでどうして身なりはここまで質素なの?なにげに超ミニ・トランプなオバサン。それだけではなくて、彼女の成功を知っている回りの人間は彼女の話を良く聞き、一緒に投資もしているようだ。だから、マイクみたいにアシスタントと本人はいうが、要は使いッぱの弟子が何人もいた。何故ならばみんなリンダのように犬、ネコの世話だけをして家から一歩も出ないで家賃収入だけて生活できたらどんなに素晴らしいんだと思う若者だからだ。勿論、私もその一人なわけだが、リンダいわく自分は「真剣」なギャンブラーだから何もこんな生活が出来るなんて計算もしていなかったとの事。あくまでも人生は「運」のみだと言い切る。
生まれて初めて買った不動産は、1 週間ラスベガスに旅行にいってギャンブルをしまくって勝ったお金、$30,000
でミッドタウンにあるアパートを現金で買ったそうだ。30 年も前だったら$30,000 でいくらでもマンハッタンにアパートを購入する事ができたのだろう。当時の彼女はもともと無かった$30,000
、とっておいても仕方ないお金だからこれまたギャンブル感覚でアパートを購入してみたらしい。それから毎回、ラスベガスに行っては勝つまでニューヨークに戻らないという生活を1
年くらいしていたそうだ。購入した4 件の物件から家賃収入があったが、これまた真のギャンブラー精神が収まらない。価格の上昇しただろうと思われる物件を売りにだし、その利益でまたラスベガスへ。そういうオーソドックスな社会人とは感覚がずれているところがなんとも女番長なわけで、そんなことを何年もしていたらあれよあれよというまに人も羨む、不動産女王になっていたそうだ。人も羨むという部分は私が羨んでいるだけで、本人は別に私が羨んでいるのだろうとかは到底思ってもいないようだ。何故ならあまり人の事は気にならない、何度も言うが彼女が気になる事は犬とネコのことだけだからだ。
別にリーダーになるつもりはないけど番長のように仕切っているリンダ。たまに笑ってしまうのは、何故自分のところに若い独身の男が寄ってくるのかが分からないわと、ちょっと自慢気に言うところだ。女番長、年齢でいうときっと
60 歳をとうに過ぎているだろうけど、されど女。若い男にちやほやされて悪い気はしないんだろうとは思う。しかし、その若い男達はみんなといっていいほど、リンダの持ってる不動産を見極める才能、ギャンブルのタイミング等を学習したくてよってきているのだけど、彼女はただ単に、自分が独身だから言い寄ってるのだと思っているようだ。リンダと知り合いになってかれこれ
5 年以上たつが最近になってやっとそれを確信した。最初は若い男を孫のように可愛がっているんだなとか、息子のように。。。いや、弟のように。。。と思ったが、リンダは若い男をみんな恋人のようにかわいがる。前から不思議だったが、やっぱりと思ったのは弟子の一人のマークの名前を最近聞かないと思って、そういえばマーク元気?という話をしたら「やっぱり彼は私には若すぎるから」といっていた。始めはそりゃ、彼はまだ
30 になったばかりだし。。。と思ったが、その言葉の裏には「恋人としては若すぎる」という事だった。私は前から気になっていたからこの言葉の意味を正確に理解する必要があると思い、何度も何度もいろんな聞きかたをしてみた。何度聞いても、その言葉の裏には「若い男は駄目ねぇ、恋人としては。。。」で有る!トランプもビックリするほどの強気の態度。これぞおんな不動産番長。私もリンダほどの歳になる前に是非そんな経験をしてみたいと日夜努力をするのだった。それと若い男が何故か私に興味を示してきたら、「あっ、私の財産目当てなのね」と勘違いしてみたいという密かな夢も抱いている。
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