NYの日系コミュニティガイド
NY EVENT
Vol.12 美男子ジョン君の長くて険しい道のり
2007/01/01 UP

 ニューヨークに住んでいて常々思うのは、きっとこのニューヨークにはアメリカ中で一番の美男美女がそろっている街だろうということ。この狭い地域にありとあらゆる世界の国の人々がいろんな事情をかかえてが集まってくる。そしてここで恋をして家庭を持つ。きっとニューヨークにいなければ死ぬまでそんな国の人と巡りあうことなんてないと思われるような、なんの接点もない国同士の人達がめぐり合い、ここニューヨークに根付いてみんなニューヨーカーになっていく。

 そんな美男子のジョン君に初めて会ったのはかれこれ二年前の初夏だった。ある日、日本人の女性から電話を受け、ニューヨークで仕事を始めた息子の為に不動産を購入したいという話しをされた。彼女は35年近くアメリカに住んでいるが英語ではなく日本語だけを頼りに生活しているからブルックリンで日本語を話せる不動産エージェントにあえた事に感激してくれた。電話の声からするととっても若そうな、チャキチャキとしたお母さんで、息子ジョンの話をいろいろとしてくれた。そういう話しを聞いて、私はジョン君に興味をもたなかった訳ではないが、ちゃんとプロフェッショナルらしくこれからどのような物件をどのように探していくのが妥当かを話しを聞きながら検討していた。息子が不動産購入に積極的ではないけど、別に私が購入するといっているんだからあまり息子には関係ないのよっ。とお母さんは話しているが、実際にそこに住んでメインテナンスをしていくのはかわいい息子のジョンということで、やっぱり私はジョンに会い、お母さんの希望というよりもジョンの希望に重点を置くことにした。

 最初はジョンとの連絡はメールでやり取りをした。メールの感じからいうと電話で話すのも面倒だし、私にそんな時間をとってもらう事すら恐縮だから忘れてくれというニュアンスが伝わってきた。勝手にお母さんが購入するとか話をしているけど、自分はまだ仕事を始めたばかりだし、そんな不動産を購入するなんて重大な決断は出来ない。だから申し訳ないけどお母さんの事は無視してくれとの事。お母さんの希望とは裏腹になんとやる気の無い息子。実際に住む本人にやる気がないのならばと、そのうち私もお母さんとはお友達のように話をするけれどもだんだんと不動産とは程遠い話で盛り上がっていた。でも、お母さんは最後にはいつも忘れずにジョンだけの事が心配でねぇ、あの子はいい子で見た目はアメリカ人なのに心は日本人だから、本当にニューヨークでやっていけてるのかしらといつも心配していた。そのジョンも30近く、いくらかわいい息子だとはいえ立派な大人。大丈夫ですよぉ、と知りもしないのに気休めの為に返事をしていた。

 何度かお母さんには、もしかしたらこんなのだったら気にいってくれるかもしれませんよ、みたいなノリでリスティングを送っていた。するとそのうちの一軒をどうしても気に入ってしまったお母さん、是非ともジョンにこの物件を購入してあげたいと言い出した。なんと気が早いお母さん、見る前から購入を決めてやる気満々!しかも、オファーを出す前からお金まで私に送りたいといっている。本当にかわいい息子の為ならなんでもしまっせ〜という母心がヒシヒシと伝わってくる。でも、話があまりにもぶっ飛びすぎなのでとりあえずその物件を実際に見ることができないお母さんに代わってジョン本人に見てもらう事にした。事情を説明して時間を作ってもらい初めて彼に会う約束をした。初めて会ったジョンはまさに見た目は外人さんという顔をしているのに、やっぱりよく見ると日本人という顔をしている。彼はアメリカ生まれだから当然アメリカ人だが、なんとも美しいアメリカ人だこと。いったいまわりのニューヨーカーは髪の色がダークで中肉中背の彼を何人だと思うのだろうか?ニューヨークにはジョンみたいに美しい混血の人が山ほどいるて、本当にピュアなアメリカン人なんているのかと思うほどいろんな人種がいる。でも、みんなアメリカに住んでるからアメリカ人、ニューヨークに住んでるからニューヨーカー。外人顔なのに(って、本当は日本から来た私のほうが外人なんだけど)なんだか懐かしい顔をしているジョンにあってホッした気分になれた。

 実際にアパートを見学するとロビーの感じといい、ビル全体のアメニティーも充実してるしアパート自体も期待を裏切らないものだった。そこで私の大変悪い癖だが、まるで自分のアパート探しをしているかのようにどこにいっても、新いものを見たり、いい物件をみるといちいち興奮してしまう。当然だが、こんなに素敵なアパートを親が買ってくれるなんて、あ〜、なんて幸せなんだろう!とまるで自分の事のように何度もときめいてしまった。しかも、ジョンにまでまるで呪文のように幸せじゃな〜い!なんて言っていた。本人はというと「あ〜いいねぇ、でも僕にはもったいないよ」自分はまだ若いからこんなにいいところに住む必要はないよ。そうは言ってもきっと遠慮してそんな事をいってるんだろうなと勝手に考えていた。早速お母さんに連絡をしてジョンも気に入っているようだしオーケーでしょ、という事でオファーをいれた。すると私達がオファーをいれた同じ日に他にオファーが入ってしまった。私とお母さんはやる気を見せるために少しオファーを上げる決意をしたが、ジョンはというとそんなに欲しい人がいたらその人に買ってもらうべきだ。自分には最初から身分相当のアパートじゃないからいらないと言い出した。あ〜なんと謙虚なジョンなんだろう。とは言っても、だんだんを彼の言っていることも一理あると思うようになってきた。何故なら彼は自分で働いているんだから自分で、自分のアパートを探したいという事。まぁ、いくらお母さんからみたらかわいい子供といえども就職しているいっぱしの大人だから、親に迷惑をかけたくないという気持ちも分らないでもない。

 このあと不動産購入の熱が一気に冷めてしまったお母さん、ところが一ヶ月ほどたって今度はジョンから連絡が入った。あのあとケイコに言われた通りに毎週末のようにオープンハウスにいっていたんだよ。でっ、これだったら自分でも買いたいという物件を今日みてきたから是非オファーをいれたいんだけれども・・・。という、なんとも目がウルウルしてしまうようなお話。しかも、やる気のないそぶりをみせて、心の片隅では私が言ったことをちゃんと実行していたじゃないの。ジョンがオープンハウスに行って気にいったというアパートは、ブルックリンではなくてグラマシーパーク。大きなアパートじゃないけれども立地がとっても気に入ったとの事。しかも、アルコブのスタジオだけれども窓が3面についていてとっても明るい。そっか、今度こそジョンの為にこのアパートをゲットできるように頑張ろう。前回は突然の出来事でいまいち説得力のないオファーの仕方だったけれども今回は完璧に仕上げよう!

 そしてオファーフォームとファイナンシャルを念入りに確認してオファーを出した。がっ、結果はというと、ボツ!何故?何故??今回もオファーをいれた瞬間に別のオファーが入ってしまった。ここで私達は価格を上げて購入する事も可能だが、これまた謙虚なジョンは「やっぱりいいアパートだったから他にも買いたい人がいるんだよ。いいよ、諦めるよ」との事。他にもオファーがあるときは早いもの勝ちというよりも、価格を高くした人勝ち。それと同じくらいに大切なのはコープのボードに適正だと思われるかどうかだ。ジョンに値段を上げてでもオファーをするも希望があれば十分に可能だが、やはり適正面で考えると、コープはお金をどんなに出してもボードに不適格だといわれてしまう時がある。それを考えると自分達が決めている価格内の物件をみるべきであって、どんなに気に入ろうが値段を吊り上げる事は妥当ではないという判断をした。

   とはいっても、折角ジョンに不動産購入の意欲がわいたというのにしょっぱなからなんとも苦い経験。ジョンが、「だから不動産購入は面倒なんだとか、仕事だって充分にいそがしくて、自分はキャリアに集中しないとならない時なのになんでこんな事をしなくてはならないんだ」というような気持になってしまうのではないかとやきもきしてしまった。ところが心配とは裏腹に、この二度の苦い経験でジョン親子は立ち上がった!挫折を経験して二人の気持ちが一致団結したのか、二人で声を揃えて「次は頑張りますのでケイコさんヨロシク」と言ってきてくれた。お〜、私はこの親子の為に全力で物件を探すというミッションにエンジンがかかった。ところが・・・。最初に会った日から購入までに2年近くお付き合いをするとは、この時誰が思っただろうか。実はこれから先、この親子には長い、長い道のりが待ち受けていたのだ。そうとは知らずに3人は最初から燃え上がり全力疾走してしまった。それをわかっていたら最初から全力疾走なんかするんじゃなかったのに。それでもこの親子のお陰で私はまた一回りも二回りも大きく成長させてもらった。さて、3人がいかに団結して不動産をゲットしたか、次回をお楽しみに。
文/写真/情報提供 keiko Matsumura
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コメント from けい子:
日本語で親切に対応してくれます。
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