NYの日系コミュニティガイド
NY EVENT
2006/10/01 UP

  私は自分が生活し、仕事をしているブルックリンが大好き。その最大の理由は、ブルックリンでは世界の各地からやってきた移民がいまでも自分たちの祖国の文化を守りながら暮らしていてマルチ・カルチュラルだから。それぞれの街にそれぞれの移民の文化が根付いていて、まるで世界の国々を小さくまとめたような感じ。海外旅行になんて行く必要なんてなくて、ブルックリンの街を歩けばニューヨークにいながらにしていろんな文化を体験できてしまう。時代の流れに逆らいながら自分流に暮らす。ブルックリンにはそんな魅力があると思っている。ブルックリンに暮らしている人は多かれ少なかれ私と同じような魅力を感じているのではないだろうか。

そんなわけで、私と同じようにブルックリン大好き、ブルックリンに住みたいと思っている人は後を絶たず、今では「マンハッタンに住めないからブルックリンに住む」のではなく、「どうやってもブルックリンに住みたい」という憧れの地域になってしまっている。そうなると需要と供給の原理で、ブルックリンの不動産価格はどんどんと高くなってしまった。それでも憧れのブルックリンに不動産を購入したいという人はたくさんいて、今となっては不動産を購入するにはブルックリンはかなりの努力を必要とする激戦区だと言える。

 一方、お隣のクイーンズはと言うと、変に人気に左右されることがないせいか、いまだにちょっとした物件が妥当な価格で販売されている。不動産購入者にとっては天国のようなエリアだ。私も初めて会うお客さんでバジェットにあまり余裕のないお客さんには迷わずクイーンズを勧める。何故ならば、値段の高騰したブルックリンと比べ、いたって人間らしい生活が出来る物件を、妥当な価格で数ある中から選ぶ事ができるからだ。クイーンズというと少し庶民的なイメージだけど、ようく見ると街並みはきれいだし、落ち着いた雰囲気の場所もたくさんあって、実は比較的まともな物件がいい条件で買えたりするのだ。なので、バジェットやあまり激戦を勝ち抜くためのチャレンジ精神がない場合にはクイーンズの物件をということになってしまう。それでも私の勧めに逆らい、ガッツでブルックリンにマイ・ホームをゲットしたいという人には覚悟をしてもらった上で物件探しをしてもらう。(まあ、それは言い過ぎか。)

 一気にニューヨーク全体がホリデームードむんむんで、それを無視して生活してはいられない時に、東京から到着したナオミさん。さて、がんがん物件みるもんね〜と気合を入れたのはいいが、なんかあまり働いてる人がいない?これはと思う物件の担当エージェントに連絡をしても、もう売れてしまったとか(じゃ、どうして広告だしてる?)平気でいってくる。要するにホリデーシーズン、いまいち仕事する気分じゃないのよねぇ、みたいな感じが電話を通して伝わって来る。いくら私がブルックリンを勧めても、やる気のないエージェントばかりじゃ仕方ない。そしたらとりあえずクイーンズを見よう。いろいろ物件があるし「まとも」なアパートがみつかるはず。何件かエージェントに連絡しても返って言葉がこれまたポジティブ。 高飛車なブルックリンのエージェントと違い、クイーンズには私たちのためにホリデーシーズンといえども働いている人がいるじゃないの。実際にアポをとって何件か見に行く事に。3〜5件くらいみたところでナオミさんも「ケイコさ〜ん、クイーンズって本当にいいよ〜。凄く綺麗だし。びっくりしちゃった。もう絶対にクイーンズにする」というお言葉。「エージェントも親切だし、ドアマン付きのビルだったよ」「アパートが信じられないくらいに綺麗にしてあったの」とかいうポジティブなコメントばかり。そっか、そりゃ、親切・丁寧なクイーンズの不動産エージェントには適わない。ブルックリン・エージェントの私はまさに白旗を上げ降参。

 ある日、ブルックリンにも写真を見た限りよさそうな物件があり早速その物件の売り手側エージェントにコンタクトしてみた。なんと夕方6時くらいなら見せてくれるとのこと。「意外とこれも良かったりしてねぇ、ブルックリンでみつかったらそれはそれでベストかもねぇ」なんて言いながら約束の場所にいくと、いない。エージェントがいない。何故?彼の携帯に連絡するといきなり「もう、今日は見せられない」との事。はぁ?何故?何故?、そういう事を勝手に言うの?私は「でたぁあああ!!」と思うだけなのだけど、ナオミさんの方は、どう理解していいのか分からないようす。結局のところ、人気急上昇のブルックリンでは黙っていてもお客さんが押し寄せてくるので、エージェントの対応も高飛車になってしまうみたいだ。もう、ブルックリンの評判は落ちるばかり。今更、挽回のしようがないよ。

 それでも、一応、ブルックリン、ブロンクス、クイーンズと時間の許す限り見てもらいたかったから、週末にはブロンクスやブルックリンのオープンハウスへ行ってもらった。クイーンズでは、アストリア、エルムハースト、ジャクソン・ハイツ、フォレスト・ヒルズ、キュー・ガーデンといったエリアを見て周り、ブルックリンではケンジントン、ミッドウッド、フラットブッシュなどの物件を見た。その他、ワシントン・ハイツとインウッドへも足を運んだ。ある日、ブルックリンのオープンハウスへ行ったナオミさん。「ケイコさ〜ん、怖かったよぉ。もう、バス乗ってると急に町並みが変わるところがあるのよぉ。人の顔つきが変わってくるのがわかるんだけど。でも、ここまでならいいっていうところがあるの。それが結構地域もいい感じなんだよね〜。なんで?」なんでかと聞かれても私も困るが、そっか、ナオミさんブルックリン・ハイツ意外のブルックリンは知らないんだ。そう、ブルックリンにもいろんなところがありますよぉ。

 そうこうするうちに、ブルックリンでまたよさそうな物件をみつけた。今度こそ名誉挽回のためにがんばっちゃうもんね、ってな具合に気合をいれてエージェントに連絡してみた。すると、意外にもスムーズにアポが取れた。場所は、ブルックリンに入り地下鉄でどんどん行くと、プロスペクト・パークを過ぎたあたりから線路が地上にでるところがあり、ミッドウッドと呼ばれるエリア。ニューヨークといえば暗い地下鉄のイメージだが、こうやって奥地にくると急に日本の電車みたいに地上にあがって、窓から景色が見えるようになる。ちょっと日本で電車に乗っているような懐かしい気持ち。ミッドウッド・エリアの駅を降りると、素敵なお家が何件もならび、駅前にはこれまた日本のようにちょっとした商店が並んでいた。

 実は私にとってもミッドウッドはあまり馴染みのない地域。とりあえずどういうエリアなのか全く期待をしないで出かけて行ったので、こんなところにこんないいところがあったんだと驚かされてしまった。アパートを目指して歩くうちに心なしか二人のフットワークも軽くなってきた。「えっ、ちょっとここいいじゃん!嘘じゃないよね?」ってくらに期待以上にいいところ。価格がお手ごろで、こんなに街並みの綺麗な地域がブルックリンにも探せばあるんだ。アパートを見る前から心は、もうここの街で買うもんね!という気分だった。実際アパートをみると「これにする!!」「こういうのが欲しかった!」というナオミさん。心躍るような物件に出会ってしまった。

 早速、オフィスに帰って準備してあったオファー・フォームを送った。当然のことながら、オファーをするときにナオミさんが日本に住んでいるということ。ソーシャル・セキュリティー番号を持っていない、ヴィザを持っていない。という事を付け加えた。その後、マネジメント・エージェントもかなり真剣に取り合ってくれたにも関わらず、結局コープのボードが受け入れられないということを言ってきた。アパートを見た帰り道、さらにオファーを入れた時点で心はブルックリンのアパート買うもんねっ!うれしぃ〜!!と私も一緒になってそうとう舞い上がっていたため、買えないと確認してしまった日には、スケートリンクの上でクルクルと回ってみたのはいいが、思わず冷たいリンクの上にひっくり返ってしまったくらいに痛すぎで目も当てられない状態の二人に戻ってしまった。

  がっかりしたナオミさんは、「やっぱり、日本在住ではニューヨークで買えないんだ。そうだよね、どこのコープに当たっても結局、同じ事だよね。そっか、私が甘かったんだね。ケイコさん、ごめん。ご迷惑おかけしました・・・。」という弱気な態度。たかが、一週間くらいの出来事だったが、天に舞ったり、地獄に落ちたり。そして本日、あきらめて日本へ帰ろうとするナオミさんを引き止める私。大丈夫。最初のオファーでくじけててはダメ。また明日から頑張ろうよ!!って。また、やり直す気になった?「う〜ん」と気の無い返事のナオミさん。でも、あと一週間あるもんね、十分時間はあるよ。
文/写真/情報提供 keiko Matsumura
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コメント from けい子:
日本語で親切に対応してくれます。
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