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ニューヨークに住んでいてつくづく思うのは、ニューヨークという場所はそこら中にミリオネアーと呼ばれる人がいるという事。どこにいっても、誰かさんの友達
は必ずひとりぐらいは大金持ちとか、その友達のなかにはセレブとお付き合いしているという人がいるという話しを聞く。そんな話しを何度聞いても飽きもせずいちいち反応する性格だから、人々は私にそんな話しばかりをしたがるのか、本当に人も羨むような生活をしている人がニューヨークには五万人といるから、そんな会話が普段の生活の中で何気に聞
こえてきてしまうのか。いったいどっちなのかは私には分かりません。がっ、しかし話しを聞く限り、なんだかニューヨークには、こんな事をしたら「儲かりまっせ!」というような話しがゴロゴロとしている。だって、名前は忘れたけど、友達の前の彼氏のいとこって、なんかで大儲けしたって。常に話しの詳細に関しては薄ら覚えだが、なんかニューヨークに住んでいるだけで、自分にまでそんなチャンスが巡ってくる。そんな気になりませんか。
不動産エージェントを始めた頃の私は2週間くらい途方に暮れた日もあったけど、実をいうといきなり3ヶ月目にして今月の売上ナンバーワン・エージェント (私の所属していたオフィス内で)になっていた。こんな話しを友達にするとみんなビックリして「やっぱ、ニューヨークは不動産だよねぇ〜。そのうち、札
束で扇がれちゃうんでしょ〜。ヤナ感じぃ〜」と言われてしまうのだけど、でもそれはまさに素人にありがちな運だったとしかいいようがない。たまたまその月にオフィスのみん
ながバケーションを取っていたとしか思えない。よく「生まれて初めて競馬をしたのに勝ったのぉ〜」とか「パチンコって結構でるよねぇ〜」というあれ。まさにビギナーズ・ラック。たぶん最初の頃はあまりにも必死で毎日恥をかかないようにがんばることに精一杯だったに違いない。何をどのようにやったら売上ナンバーワン・エージェントになれたのかは、今こうして思い出そうとしてもあまり記憶に残っていない。人は痛みを味わなくてもいいように、
一時的に記憶が消える事があるらしいが、あの日々の記憶があまりないのはもしかしたらそういうことなのかもしれない。
余談だが、生まれて初めてセントラルパークでローラーブレイドに挑戦した時、大回りのコースで頭からひっ くり返ってその日からの記憶が二日間くらいなくなった事がある。頭を打ったその日は、一緒にローラーブレイドをしにいった友達いわく、転倒直後にパトロー
ルの人が病院に行けと言っていたにも関らず、OK 〜!といつもの調子でヘラヘラと笑っていたと言っていた。その後、頭が痛いといういうような事をぼそぼそと何度も言っていたが、結局夕方まで彼女と一緒に過ごし、しかも!私は彼女にお金を借りてまでローラーブレイドを購入していた!(ちなみに、転倒した時はレンタルのローラーブレイド)私はどうして、人にお金を借りてまでもそんなものを買ってしまったのか?それは頭の痛みを消す為?今だにその謎は
解けないし、そんな事は今更知ってどうなる?なのだけど、とにかく夜中に目が覚めて、初めて、自分のアパートにローラーブレイドがあるのを確認した時、私はサンタク
ロースを本当に信じるべきだと思ったくらいだ。ドラマでしかあり得ないようなストーリー展開だが、とにかくその後、「ここはどこ?私は誰?」みたいになってしまった。悲しみにしたりつつも、何をすればいいのか分らなく、いつもバスに乗っていると目に付くEmergency
という入り口までぼっと明け方に歩いていった。そして、そのドアを通過して「 I think I lost memories.
」と伝えた。前置きがとっても長くなってしまったが、ドクターいわく痛みを忘れる為にその時の記憶がなくなってしまったらしい。外傷を
見るとどんな悲惨な転び方をしたかがよみがえってきそうだが、不思議なもので頭の痛さだけは思い出せなかった。その後、何年たっても私はこの記憶喪失の技を使う事がある。あまり、覚えていたくないような事は、忘れてしまいたいと自分に暗示をかけると、あら不思議!そういえばそんな事あったよねぇ〜、くらいにまで記憶が薄れてしまう。これは不動産を始めて特に役に立っていて、ある意味私の一番得意とするワザになった。
オフィスでトップ・セールスの表彰(と言ってもリボンだけ。なんか他のもの贈れ!)をされてうかうかしていたが、徐々に慣れから来る怠慢か、全くセールスのない月が来てしまった。毎日、焦って何かをしようとするのだが、結局のところ後が続かないことに気付いた。これではいけない。もう私の出すカードはこれしかない。その月は友達を餌食にサバイバルすると心に決めた。探せば、勇気のある友達
がいるもんだ。まさに、お金じゃなくてこれは、彼女の勇気によって獲得した物件というのがある。私が不動産エージェントを始めてから、「私もいつか買うからその時は宜しくねっ!」なんて言ってくれるお友達は何人かいたが、暇だから一緒に物件を見に行って(暇なのは私であって、友達じゃない)気に入ったのがあったら買えば?と
言ってみたところ「いいよ、じゃ〜、私を実験台に、こんな貧乏でも買える、みたいな具体例としてこれからもこのケース応用してよねっ」という勇気のある友 人1名。何軒か物件を見たが、欲しいものと買えるものの格差が激しい事に目を覚まし、欲しい物件じゃなくて、買える物件を見ようということになった。そのうちこれならいけるかもよというスタジオ物件がでてきて、
ためしにオファーを出してみた。今考えると命知らずの行動だったと思うのだが、「ちょっとその金額でのオファーは無理でしょ〜」というような低い額のオファーだった。当
然、そのオファーは受け入れてもらえずに、さらに$10,000 くらい出せるなら考えてみるとの返事。どうしようか?と考えてる次の日になんと、9 ・11
が起きた!この世の皆 が途方にくれた一日だったが、なんと売り手が「その値段で売るから早く売りたい」と言ってきた。当然、彼女の日本に住む家族は「そんなに危ないニューヨークで不動産買うなんて頭がおかしい、これからアメリカはどうなると思ってるんだぁ〜!」と怒りまくったそうだが、友人はこんなどさくさまぎれでもない限りきっと不動産購入なんてできないだろうと自分で思ったらしく、購入を決断。あれから、かれこれ5年が経つが、彼女の購入した物件は、今となっては当然の事だが2倍以上の価格で売買されている。
ちなみにその友人は激安給料で長年勤務して、まるで自分は仙人に近い人間だということだけが自慢だったのだが、最近そのアパートを担保にホーム・エクイティ・ローンを組んで2件目の不動産
オーナーになった。偶然が重なったとはいえ、こうして一見平凡に見える会社員でもニューヨークでは不動産投資家として財産を築くことが十分可能という事だ。そんなわけで、誰かさんの友達は見かけによらずセレブな生活をしているという話しを耳にするたびに、「ウッソだぁ〜」とは思いつつも「次は私の番」と思ってしまうのはニューヨークではきっと私だけではないはず。 |