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おそらく一生で一番大きな買い物であろう「家」という商品。購入までの道のりは、やっぱり勘だけに頼るのではなく、それなりにちゃんとガイドラインに従って進みましょう。そうすれば何の問題もなくスムーズに事が運ぶでしょう。と言いたいのは山々なのですが、それはあくまでも建前。不動産ブローカーとしてあまり無責任な発言はできませんが、私の経験から言える正直な意見は、不動産購入者が10人いたとしたら10通りの動機や実際に購入するまでの道のりなんかがあり、ガイドラインというのは目安にはなってもその通りに進むというのはほとんど不可能に近いということ。なので、不動産購入に関しては正しいやり方、間違ったやり方なんていうのは本当はないに等しいと思っています。結局のところ、最終的に目当ての物件が手に入れば全てオッケー!とまではいかなくても、とりあえずうまく行けばこっちのものです。
逆にガイドラインに従おうとするばかりに、少しでもガイドライン通りにいかないことがあると心が動揺して、正しい判断が出来なくなるくらいなら、いっそのことそんなもん捨ててしまえぇ〜!というのは行きすぎですが、ガイドラインはあくまでもサラっと道のりや方角をたどるだけの地図ということで、あまり気にすることなくとりあえず前に向かって一歩ずつ歩いていくことが重要だと思います。毎回クロージングに立ち会うたびに思うのですが、これまでに一度でもボヤァ〜としている間に何の努力もなしに購入できたという経験はなく、どんな購入プロセスにも笑いあり涙ありのドラマが存在し、クロージングを迎える時にはなんだか世話の焼ける生徒を送り出す卒業式のような気分にさせられます。
10カ月に渡ってNYで暮らす日本人のみなさん、特にバリバリと活躍されている日本人女性のみなさんのために不動産購入ガイドをお届けしてきましたが、この期に及んで「まだ結婚もしていないのに一人で不動産購入なんて」とためらいを感じている方たちにでは一言。ちょっと想像してみてもらいたいのですが、アパートを購入し移り住んだその初めての夜、あなたならどんなことが心に浮かんできますか。「あ〜、こんなに高価なお買い物をしてしまって。もう身動きとれないっ。私はこのアパートで一生ひとり暮らしをしながら死んでいくんだ」というのは、私が初めてアパートを購入したときに思ったこと。いきなり弱気になるタイプの人は私と同じようなことを考えるのではないでしょうか。でも、翌朝、目を覚ますとそこには誰のものでもない自分の家の天井が。そして自分のキッチンでコーヒーを入れ、もう一度今の状況を冷静に振り返ってみると、私ってえらい!と胸を張って言えるはず。だってもう家賃を払わなくてもいいんですよ。「でもローンが」なんて言っててはダメダメ。単純に計算して月々のローンの支払いが今までの家賃と同じまたは少し高いくらいならばそれはワンダフルというものです。
不動産購入のメリットはなんといっても経済的な面。他人の賃貸アパートにせっせと、何年もまたは何十年もけっして安くない(というか、ニューヨークは高すぎ!)家賃を払い続けるくらいなら、ローンをしてでも買ってしまって自分のモノのために支払いをするほうがよっぽどましってものです。本当にこの世で一番無駄なものは「家賃」だと考えてもいいのじゃないかと思うほど。ニューヨークで仕事をする為に住んでいるはずが、住むために仕事をしてるって人は意外と多くて、なんだかこれまたニューヨークの摩訶不思議ですが、家賃のためにお給料の大半を費やしてもなぜか気になっていないようす。「働けど、働けど我が暮らし楽にならず、じっと手を見る」と故郷の石川啄木を思いだす。てっ、彼もそんな事を歌っていたんだっけ??質素な暮らしは日本人の美徳だなあ、なんて言って納得している場合じゃない。でも、実際問題、ニューヨークでミドルクラスと呼ばれる人々は、お給料の約35〜40%を家賃につぎ込んでいるそう。というか、私の個人的な調査では50%以上をつぎ込んでいる人もざら。そうなると、貯蓄って何?
生活するだけで精一杯のライフスタイルなんて寂しすぎです。
話は戻って、アパートを購入して移り住んだ初めての夜。自分の家を手に入れた嬉しさとは裏腹に、なんだかこれで永久に一人暮らしになってしまうような弱気な気持ちになってしまうかもしれません。でも実際にアパートを購入した独身女性のほとんどが、将来的には結婚や出産することを視野に入れている人たちだということ。アパート購入=一生そこに住む=一生一人暮らし=一生独身という考えはあまり存在しません。これはちょっと極端な例かもしれませんが、私のお客様で婚約した直後に2件目のアパートを購入された方がいます。不動産ブローカーとしては買ってくれるのは嬉しいけど、さすがの私も控え目なアプローチ。それでも、彼女の決心は固く、婚約から4ヵ月後には2件目のアパートを、家族、フィアンセ、友人その他全員の反対を押し切りゲットしました。本人いわく、「彼を信用するとかしないとかの問題じゃなくて、大きな買い物は一人での方がしやすいのと、人生どんな試練が待ち受けているかわからない時代に、不動産を資産として維持できれば、きっと何かの役に立つはず」・・・だそうです。あっぱれ!よくぞ言った!パチパチパチ。
それと今のうちにアパートを購入しておくことのもうひとつのメリットに、年をとるごとに賃貸は借り難くなるということがあります。勿論、働き盛り、デートで忙しい年齢の時にはまさか自分がこのまま一人でいるなんて思いもよらないだろうけど、これがましてや二人でいようとも、確実に年齢を重ねていくごとに、とくにニューヨークのように審査が面倒なコープやコンドミニアムを賃貸しようものなら、収入だけではなく、そのうち保証人らしきものや資産まで提示を求められ、挙句の果てに断られたなんてことも稀ではないのです。ちょっと怖い話になってしまいましたが、でも実際によくある話なのでどこか心の片隅にでもしまっておいてください。まあこんなホラーな話は抜きにしても、やっぱりいろいろな妥協はあるにしても、とりあえずは自分の空間を所有して、自分の好きなものだけに囲まれて暮らすのって幸せです。
昨年の3月から10連載でお届けした不動産ガイド。今月号の最初にもふれましたが、あまり型にはめることなく、ニューヨークで不動産を購入するときに迷わないための地図という感じで活用していただけると嬉しいです。質問がありましたらいつでもどうぞ。さて今年はと言うと、ちょっと趣向を変えてもっとドラマチックに、実際にコープやコンドを購入した方の体験ストーリーをお届けしたいと思います。ついこの間、10月から始ったABCチャンネルの新しいドラマ「
Hot Properties 」は、不動産エージェントたちの生活をコミカル+セクシーに描いていますが、それに負けず劣らずのセクシーな、じゃなくて、そうそうセクシーではないにしてもリアリティTVなみにリアルなドラマをお伝えしていきます。不動産購入って本当にドラマなんですよ。どうぞお楽しみに
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