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ただ今、夏本番!日本の夏の厳しさに比べれば、ちょろいんじゃん?とお思いの日本の皆さま。しかし、2005年ニューヨークの夏は過去にも例をみない猛暑なのです。でっ、こんな時にいったい誰がアパートなんて買うわけ?週末に汗だくになってオープンハウスにいったところで、あまりの暑さに、アパート見学というよりも、その場で涼んで、「あ〜、今のアパート涼しかったね」で終わり。それじゃあ、不動産ブローカーである私の立場ってものがないじゃないですか!
・・・気を取り直して。春からアパート探しを始めて夏の暑いこの時期はバケーションに出かけたり、野外コンサートやビーチを楽しみ、9月になったら引越しというエリート購入者達は放っておいて、熱帯ジャングルなニューヨークは今こそ掘り出し物件をゲットするチャンスです。 経験豊かなバーゲン・ハンターである皆さんの新しいニューヨークの夏の過ごし方に、ぜひ“暑さに負けずに不動産めぐり”を加えてください。太陽の光がアスファルト・ジャングルを照らし、なんと体感温度は35度なんて日も珍しくない今年の夏ですが、みんながバケーションに出かけているこの時期にこそ、不動産購入の知識を蓄え、いつもの日常を見直して、不動産オーナーへの道を歩みましょう!
そこで、今回は人生の見直し段階とも呼べる不動産購入の次なるステップについてご紹介します。購入契約にサインをして、住宅ローンの申し込みも終わり、ヤッホ〜もう少しだよ〜、と思っているコープ購入者の皆さん。ガァ〜ン!実はコープ購入者にはこれからが正念場、試練の時なのです。あ〜、言ってしまった。こんなことは内緒にしておきたかった、というのが私の本心です。これさえなければ、みんなハッピー、私もそうそう嫌われる事もないのですが、世の中そう甘くはありません。コープのボード(管理組合)による入居審査にいかにパスするかという大きなステップが残っているのです。私としても、皆さんにパスしてもらいたい一心でつい準備にも熱が入り、慎重になりすぎてお客さまに煩わしく思われてしまうこともしばしば。それでも、かわいい我が子を立派に世に送り出したいが為に(?)、細かいことまで質問しまくり、うるさく言ってしまう親心の心境なのです。
本当にこの厳重な審査さえなければコープ(アパートメント・コーポレーション)というのは理想的な住宅所有の形なのですが、コープ購入の皆さんはここでもうひと踏ん張りです。ここであえてコープ購入者というのにはわけがあります。ニューヨークでは、一軒家ではなくコープやコンドミニアムの物件を購入した場合、そのビルの管理組合(ボード)に、入居審査のための書類(ボード・パッケージ)を提出しなくてはなりません。コンドミニアムの場合はその内容が比較的簡単な情報だけで済み、パーソナルな情報にまでおよぶこともなく、コープに提出する書類の準備に比べると全然ストレスレベルが違うからです。しかも!コープ購入者には、この書類による審査に受かっても、次には泣く子も黙るボード・メンバーとの面接(ボード・インタビュー)が待ち受けています。なのでこのステップではより複雑なコープのボード審査に重点を置いてお話ししたいと思います。
ニューヨークで不動産を初めて購入する方や、不動産事情に慣れてない方にとっては、管理組合やボード・パッケージなんて聞きなれない言葉で、その準備のためにブローカーがあーだこーだと質問を重ねる姿を見て、一体このブローカーは何を言ってるんだ?意地悪でこんな事を聞いてくるのか?と思われるに違いありません。ブローカーは管理組合の審査にパスするための情報収集で頭がいっぱいで、「頭金はどこの預金からくるのか」、「仕事は何をしてるか」、「ペットはいるか」などなど、しきりに質問を投げかけてきます。最初は、「何でそんな事まであんたに言う必要があるの?」「私のほうがお客さんなのに!」と思われる方がほとんどです。でも不動産ブローカーとしては、それらの情報を先に聞いておくことで、お客様の時間を最大限に有効に使い、お客さまにあった適切な物件をみつけることができるからなのです。ですのでブローカーがしつこくいろいろな情報を最初に聞くのは、すべてお客さまのためなのです。
そして時と場合によっては、意地悪に聞こえる事は十分承知で、物件の見学や紹介をお断りしなければならない事があります。お客様の感覚としては、見たいっていってるんだから見せてよ。買うっていってるんだから買わせてよっ。と思われて当然なのですが、コープによっては、いくらたくさんお金を持っていてもボードに却下される方がいるからなのです。例えば、これはずいぶん昔の話になりますが、お金も名声もあるマドンナがかの有名なダコタ・ハウスのコープの入居審査にパスしなかったことがあります。最近では、ベニファーこと、ベン・アフラックとジェニファー・ロペスがダウンタウンのコープを購入しようとしたけれども無理だったという事もありました(後で別れてしまったベニファーの二人にとっては購入しなくて良かったかもしれないけど・・。って大きなお世話)。だから、お金持ちだから、有名人だからと言ってコープの審査にパスできるわけではなく、同じビルに有名人が住めば警備が厳しくなったり、野次馬がうろちょろしたりと、そのビルの住人たちがそれを喜ばしくないと判断すれば審査にパスすることはできないのです。コープの審査基準は住人による多数決で決定しますので、もしそのコープがたまたま有名人好きの住人が多く住むビルだったとしたらベニファーたちもパスしていたかもしれません。でもそれはコープの審査次第なのです。
まあ、こうした有名人のケースは極端な例だとしても、一般人の間でも購入する際にそれぞれのコープの性質をよく理解して物件を選択することが重要です。まずは、一般的なガイドラインになりますが、普通に会社に勤めてお給料をもらうというようなお仕事をしている人に対する最も重要な審査ポイントは「Income/Expense
Ratio」になります。これは、年間の収入を12(ケ月)で割って月々の収入額を算出し、それに対して月々の支払いが占める割合のことです。モーゲージと月々のメインテナンスの支払いをこの月収入の25%〜28%くらい以内に抑える事ができれば、まずは安心して堂々と正面玄関からコープの面接に行く事ができるでしょう。とっころが、一体ニューヨークで働く何人の人がこの25%〜28%のIncome/Expense
Ratioを持っているのか??これはわたしの独断の統計ですが、ニューヨーカーの40%以上の人は月々のお給料の35%〜50%を家賃にあてているのではないでしょうか。
そんなあ〜、それじゃあ全然話が通じてないんじゃないの?ってことは大抵の人は一生アパートを購入できないの??そっか、そういうとこなんだよね。ニューヨークってやっぱりお金持ちじゃないと不動産オーナーになれないんだ。私は一生ぼろ雑巾のように会社でこきつかわれて家賃を払いつづけるんだぁ〜。あぁ〜〜〜。・・と泣き叫ぶなかれ。この25%〜28%という割合はあくまでも一般的なガイドラインであって、絶対的なものではないのでご安心を。トリッキーなことに、こうしたコープのボード・ルールというのはかなりグレーな部分が多く、これはいいけど、これは駄目、でもこの条件ならOKよっ!みたいに、いくつか抜け道が隠されています。何を言ってるの?全然、つじつま合わないんだけど・・。と思っても、とりあえず呑める条件は呑んで、おとなしく相手の言うことを聞いていると、あら不思議、いつしか難関を突破していたという事になるのです。
はい。これがこのコープのルールブック。という具合にはっきりと審査基準が書き記されているわけではないので、こうすればパスできます、というような明確なアドバイスをすることは難しいのですが、この仕事をしていて実感することは、これには経験がものをいうということです。ですので、経験の豊富な信頼のおけるブローカーに手助けしてもらうのが一番かと思います。(結局行き着くとこはそれかい?)(でも本当にそうなんです。)コープの審査は明確な部分がないまま物事が進むので、何で私だけこんな事言われなきゃなんないのよ?みたいに発狂しないためには、ケースバイケースだからと納得するしかないようです。でも、このコープのボードによる入居審査は日本人だからとか言うのではなく大抵のニューヨーカーが厄介に思っていることのようです。最近のニューヨークタイムスに”The
most embarrassing experience in adult life”と題し、「大人になってから最も恥ずかしい経験」をこの書類審査とボード・インタビューで経験する人も少なくないという記事が載っていました。どうして恥ずかしいのかというと、コープの審査にパスするためには、マネジング・エージェントに言われるがまま、あれこれパーソナルライフを細かく書面化しなければならないからです。
ところが一方で、このコープの審査書類を揃えている間に、あっ、私って探せば財産らしきものを所有してたのね。みたいに、自分についての意外な発見をすることがあるのです。コープを購入するのは面倒だから嫌だという人には、なかなかこういう機会がない限り自分から進んでやることのないこの自分見直しの経験は、自分の財産・身辺を調査&整理するという意味で実はかなりポジティブな経験だと思えば少しはエンジョイできるかもしれません。実際、自分という資産を評価するとっても良い機会になること間違いなし。美貌、知性、キャリア、家、マネー、自分が自ら築き上げる事のできる資産とは一体何だろう?時代に流されない有益な資産を築くために、一度真剣に自分の調査をしてみてはいかがでしょうか。この段階さえ終われば、購入する物件のマネジング・カンパニーのガイドランに従い提出物(パッケージ)をそろえて提出、そしていざインタビューへと挑みます。
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